アクセントの平板化とは?

アクセントの平板化

 以前は起伏式(アクセント核がある頭高型、中高型、尾高型の総称)で発音されていた語が、平板式(平板型)で発音されるようになる現象アクセントの平板化と言います。
 井上(1998)は、バイク好きな学生は「イク」を「イク」、「フラー」を「フラー」、「ール」を「イール」と言ったり、また、店員さんが「ート」を「カート」、「ショップ」を「ショップ」と平板化して発音することが多かったりすると述べています。このことから、ある分野で用いられる語がその分野に精通している人物によって平板化して発音されるようになっていると考察し、アクセントの平板化を「専門家アクセント」と呼んでいます。すなわち、平板化して発音するかどうかが仲間かどうかを判別する機能を担うことになり、専門家アクセントを集団語の一種として位置付けています。

 (1) イク → イク
 (2) レシ → レシ
 (3) ター → ター

 東京方言の名詞を観察すると、2拍語では「石が()」「音が()」などと尾高型が多く存在しますが、3拍語、4拍語と拍数が増えると尾高型の語が極端に減っていきます(松森 2012: 126)。4拍語の尾高型を探してみると「弟が(とうと)」「一日が(ちにち)」「一月が(ちがつ)」などがなんとか見つかりますが、それでも「一月が」は中高型「がつが」で発音されるようになっていたりしているわけです。拍数が少ないほどアクセントによって意味を弁別する必要があるので、異なるアクセント型、とりわけ尾高型が存在しやすくなりますが、拍数が長いと語形の重複が減るので弁別の必要性が薄くなり、尾高型が少なくなるといった具合かもしれません。こうした背景から、3拍語以上では語末にアクセントを置くことが回避されやすいと考えられます。
 これに対して、語末から数えて3拍目の拍、もしくは3拍目を含む音節にアクセント核を置く-3型や平板型は所属語彙が多く、生産的なアクセント型です。平板化はこうした生産的なアクセント型へ移ろうとする変化なのかもしれません。

参考文献

 井上史雄(1998)『日本語ウォッチング』167-186.
 松森晶子(2012)「外来語のアクセントと生産性」『日本語アクセント入門』三省堂.124-144.




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