「人」に子どもが含まれないときもある!?

9歳の子どもに対して自己中心的な「人」という?

 妻と親戚の子ども(9歳)について話をしていたときのこと。妻はこんな風に言いました。


子どもが私に「結婚しないで~」って言うからどうしてか理由を聞いたら、「だって新しい赤ちゃんできると、私のこと忘れちゃうでしょ? そしたらお菓子買ってくれなくなるでしょ」って言ったの。ホントにどこまでも自己中心的ななんだよね。

 そこで「自己中心的な」という言い方に違和感を感じました。言及対象である子どもに対して「人」を使うのはちょっと変だなーと私は思ったんです。(皆さんもそう思いますか?) もし言及対象が大人だったら「あいつは自己中心的な人だ」って言ってもいいですけど、どうやらこの文脈においては子どもに対して「人」は使いにくくて、「自己中心的な子ども」みたいに言わないといけなさそうです。

 つまり、「人」という語は子どもを除いた”大人”の意味を持つこともあるってことですね。明鏡第二版の「人」の説明は次の5つですが、子どもを除いた人間を表す用法については書かれていませんでした。上の「人」の使われ方はこの辞書には無かった…。

 「人」【明鏡第二版】
 ①動物分類学上、霊長目ヒト科に属する哺乳類。
 ②ある特定の個人。「これから-に会う用がある」
 ③能力などのすぐれた個人。「-を得る」
 ④自分以外の人間。他人。「-からとやかく言われたくない」
 ⑤性格。人柄。「-がいい」

 どこまでが「子ども」で、どこからが「人(大人)」かというのはたぶん人によって違います。9歳の子どもに「自己中心的な人」って言うのは違和感があったので、たぶんもうちょっと年齢を重ねて大人に近づけば許容度が上がるんじゃないかとは思います。あるいは、年齢という絶対的な基準ではなくて、話し手との相対的な関係に応じた使い分けをしてるのかも。相手が自分にとって子どもみたいな存在だったら「人」が使いにくくなるのかもしれません。または、様々な面で自立してきたら「人」と呼べるのかもしれません。

 誤用から気づいた「人」の意味でした。




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