今学期も半分授業が終わって後半戦です。これまで7回授業をやってみて、いろいろ思うことがあります。
まず背景として… 作文1回の授業は45分×2回の90分あります。前回の作
文の誤りを全員に共有して訂正し、教科書でその日のテーマに関する内容について学び… といった作業で前半70分費やし、最後の20分で300字程度の作文を書いてもらう授業構成にしています。その20分に書く作文の出来は人によって全然違います。
だいたい全体の8割くらいは、おそらく翻訳ソフトか生成AIを使って書いているかも! 可能性が高いのは後者のAI。私はここに来てまだ2か月でどの学生がどの程度のレベルかというのは正確にまだ分からないけど、授業中の受け答えから何となく把握はしていて、作文の授業で日本語の受け答えがあまりできない人が、作文を書かせると300文字の中の一つも誤用がないなんてことがよくあるんです。
話す・書くが得意な人と、書く・読むが得意な人は確かに分かれてるから、会話が苦手でも作文は得意だということもあるのは理解できますが、仮に作文がめっちゃ得意だとしても300文字を書いてまったく間違いがないというのはちょっと考えられない…。20分間作文を書かせている間、私は学生を自由にさせています。教壇からは学生の手元がちょうど見えないので、本当にスマホを使っているかどうかは分からず結局のところ証拠がありませんから、AIを使っているかどうかは不明です。
というわけでここから書くことは全て私の予想です。

たとえばこの作文、「食べた後に口の中に残るにおい」という表現は結構難しめの名詞修飾表現です。それから「残る」という動詞の使い方も結構抽象的で、この学生の会話の受け答えのレベルからすると、この表現が自力で産出できるとは考えにくいという直観を持っています。また、「ピリピリ」というようなオノマトペもすごい。

それから「足がすくむ」という表現。これはひょっとしたらN1レベルの表現ではないかなと思います。「ビルの上や山の頂上に行くと、怖いです」などと形容詞1つだけを使って表現するならまだレベル相当かなと思いますが… とかとか、ただ間違いがないだけではなくて、結構高度な表現を用いているところもAI使用説を強めています。
私は特にスマホを使うなとは指導しないようにしています。分からない単語があれば調べられる環境はあったほうがいいと思うからです。でも、そのスマホ使用の節度が人によって違うんですね。単語だけの検索にとどめる人もいれば、表現全体をやっちゃう人もいるし、なんなら作文全体を翻訳しちゃう人もいます。可能なら単語の検索だけにとどめてもらいたい。中国語で書いて日本語に翻訳するのは自分自身でアウトプットしていませんから、これはできれば避けてほしい。でも、それを学生にどのように伝えればいいのかはここ数週間ずっと考えています。
全員にそうやってもらうのは諦めようとも考えています。誤用が無い学生は授業中も学習意欲があまり感じられないので、厳しいですが粛々と放っておくしかないとも思います。さいわい残りの2割の人の作文には毎回たくさん誤用があって、自力で書いているなってことが分かるし、その人たちは会話の受け答えもすごく良い傾向があります。フィードバックの段階で肯定的な内容を増やしたりして、スマホ使用の節度を今の状態に維持してもらうような工夫ができればそれでもいいかなと。
以前廊坊にいた時、10年前から5年前にかけてはまだ生成AIが無かったころですから、このときの作文には無かった現象が今見られていて、先生側の対策(?)が求められているのかもしれません。

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