中国の大学で日本語教師として働くときの必要書類の集め方

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中国の大学で日本語教師として働くときの必要書類の集め方

 前回5月1日に先方から必要書類8つを集めてほしいという連絡が来て(「ビザ申請に係る手続きが始まりました」)、それから1か月半以上経ちようやく全ての書類が揃いました。いろいろ情報収集して集めた過程をここに共有して、同じような境遇の方のお役に立てればと思います。私が以前2015年に中国に渡ったときとは別の手続きもあったので時間が経つと当然ですけどいろいろ変わりますし、また、赴任する地域を所轄する外国専家局(外専局)によっても必要書類やその様式などが多少異なる可能性もあります。ここに書く内容は北京市の外専局が要求しているものとしてあくまで参考程度にしてもらって、心配であれば各関係機関に問い合わせることをおすすめします。

 必要書類は①中国語版の履歴書、②証明写真、③パスポートのコピー、④犯罪経歴証明、⑤学位記のコピー、⑥健康診断の結果、⑦職歴証明書、⑧日本語教育能力検定試験の合格証のコピーの8つでした。以下に各必要書類の詳細をまとめていきます。

①中国語版の履歴書

 履歴書は中国語版の履歴書(word、またはPDF)で提出するよう求められました。履歴書には個人の基本情報と学歴、職歴が含まれている必要があるようです。学歴に関しては高校入学から書き、学歴と職歴を含めて空白の期間がある場合はその期間何をしていたかの説明文を履歴書のどこかに加えることが求められます。期間は「~年~月」という形式を用います。

 中国語版の履歴書がどんなものかを知るには、中国の百度で「简历」と調べるといいです。最も基本的な履歴書は上の写真のような形式なので、私はwordでこれを模したものを自作しました。その中国語版履歴書のサンプルを載せておきます。

 履歴書に貼り付ける写真は②写真と同じものが望ましいと思います。

②証明写真

 顔だけ写ってる証明写真はJPGファイルで求められました。様式は結構がっちり決まってて、白背景、大きさ150KB以上、1024×768px以上、いわゆるパスポート用の写真が良いとのことです。証明写真を撮るだけなら証明写真機を利用すればいいんですが、今回はJPGで欲しいのでカメラ屋さんに。カメラのキタムラに行って詳細伝えてお願いしたらすぐ証明写真撮ってくれて、もらったIDとパスワードで公式サイトからログインすると撮った写真をJPGでダウンロードできました。

③パスポートのコピー

 パスポートの最初の顔写真があるページをスキャンしたものをPDFやJPGで求められました。自宅にスキャナーがあればそれで、なければUSBを持ってコンビニに行けば印刷機でできます。

④犯罪経歴証明

 中国に日本の公文書を提出する場合は、これまでは在日中国大使館・総領事館で領事認証をしないと効力を発揮しなかったんですが、中華人民共和国駐日本国大使館の「中国の<外国公文書の認証を不要とする条約>締約に伴う大使館における領事認証業務停止のお知らせ」と「公印確認・アポスティーユとは」によれば、中国は2023年3月8日に<外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)>(ハーグ条約)に締約したので、同じく条約を締約している日本とは2023年11月7日以降、日本が発行する条約範囲内の公文書に対して在日中国大使館・総領事館の領事認証が不要になり、代わりに日本の外務省でアポスティーユ証明を取得することで中国本土で使用できることになっています。外務省にも電話して聞いてみたところ、そういう旨教えてもらいました。

 ①犯罪経歴証明を警察で取得
 ②それを外務省に送ってアポスティーユ証明を取得

 なので中国に提出する犯罪経歴証明は上記の手順を踏めば大丈夫です。まずは住まいがある場所を管轄している都道府県警察本部に行って申請します。申請してすぐにはもらえず、1~2週間後くらいかかります。どこに提出しますか?と聞かれて中国の大学だと答えたら、犯罪経歴証明受け取りの際には中国の大学との契約書を持ってきてくださいと言われました。相手方の名前と自分の名前が書いている部分があればいいそうです。

 犯罪経歴証明は封筒でもらいますが、開封すると無効になってしまうみたいです。なので封筒に入ったまま、外務省に送ってアポスティーユ認証をお願いします。送る方法は「申請手続きガイド 3 申請方法・必要書類|外務省」に書いています。なお、アポスティーユ申請書には「書類発行者の公印名/肩書き」「発行者氏名」「発行年月日」を書く欄があるんですが、「よくあるご質問|外務省」によれば、犯罪経歴証明の場合はそれらを書かなくてもいいみたいです。

 外務省のアポスティーユ認証は普通郵便でやり取りすれば1週間~2週間くらいで返ってきます。上みたいに犯罪経歴証明の封筒に外務省の認証がついた形で戻ってきます。開封無効って書いてあるので開封しちゃいけない気がしてしまいますが、大学が中国の外専局でビザの手続きを行うにあたり犯罪経歴証明のコピーが必要になるので、開封してしまってPDFやJPGにしなければいけません。思い切って開封して大丈夫です。犯罪経歴証明は6か月以内に発行されたものが有効です。

 ※1 外務省に電話をして聞いてみたら、犯罪経歴証明は公文書なので公証役場で公文書化する必要はなく、そのままアポスティーユ証明を取得すればいいとのこと。
 ※2 提出後、後日大学の担当者から連絡が来ました。犯罪経歴証明のアポスティーユ証明をした人のサインがアルファベットだけで書かれていて翻訳できないとのことで、漢字は何ですか?と聞かれました。外務省に電話をして聞くと教えてくれたので解決。

⑤学位記のコピー

 大学からは学位記のコピーとそれに対するアポスティーユ証明を提出するよう求められました。学位記に関する手続きは「申請手続きガイド 1 証明できる書類|外務省」に一応書かれていますが、よく分からなかったので直接電話で聞きました。外務省に問い合わせたところ、学位記は私文書なので公証役場へ持っていって公文書化し、その後にアポスティーユ証明を取得すればいいです、という答えでしたが、近くの公証役場に聞いてみたところ、学位記はすでに公文書だからさらに公文書化する必要ないと思いますけどねーっていう話でした。どっちが正しいのか私には判断がつきませんでしたし、後からあれこれ足りないと言われても面倒くさいですから、公証役場で公文書化してアポスティーユ証明も取得しました。全部やれば向こうは文句言えなくなると思ったので

 ①学位記をコピーする
 ②公証役場に持っていって公文書化する
 ②それを外務省に送ってアポスティーユ証明を取得

 まずは学位記をコピーし、それを近くの公証役場へ持っていき、公文書化します。5,500円かかりました。その後は犯罪経歴証明と同じく外務省に送ってアポスティーユ認証をお願いします。送る方法は「申請手続きガイド 3 申請方法・必要書類|外務省」に書いています。アポスティーユ申請書の「書類発行者の公印名/肩書き」「発行者氏名」「発行年月日」には、学位記に書かれている内容を書けば大丈夫です。そうして戻ってきた書類を全部スキャンしてPDFかJPGにして先方に送ればOK。

⑥健康診断の結果

 健康診断を行い、「外国人体格检查记录(PHYSICAL EXAMINATION RECORD FOR FOREIGNER)」という中国の様式にその結果を書いて提出してほしいとのことです。外国人体格检查记录は中国のネットで調べるとすぐに見つけられますが、見つかったものをいろいろ比較してみると若干細部が異なっていたりします。たぶん地域によって違うのかもしれません。私が使用したのはこれで、記入例はこれです。提出するものは6か月以内のものでないとダメだそうです。

 以前中国に行ったとき(2015年)も同じ様式で健康診断をした覚えがあり、でもどこの病院でやったのか全く忘れてました。なのでこの紙を持って地元の小さい病院から大きい病院までたくさん回ったんですが、ことごとく対応不可と言われて困りました…。探しまわったんですけど、中国の様式にしたがって英語で結果を書いてくれる病院はほとんど無いです。でもようやく発見したのは、青森でいうと弘前総合医療センターでした。担当してくれた先生が私と同じように中国に行く前の健康診断を何度も経験していて、何から何までちゃんと対応してくれたのがすごかったです。

 その先生が言うには、中国の地域によって健康診断の内容が若干異なったりするらしい。私はただ学校から「外国人体格检查记录」を提出してくださいと言われただけなんですが、先生によると過去にレントゲンの写真をCDに焼いて提出したこともあったり、検査結果報告書とか心電図の原本データも追加で用意したこともあったみたいです。後々であれが足りないだのと言われると面倒なので、先生にお願いして念のためそれら全てをいただくことにしました。全部で費用は2万6000円くらいでした。健康診断の予約から結果をもらうまで1か月くらいかかりました。健康診断の結果は全てスキャンしてPDFかJPGにして先方に送れば大丈夫です。

⑦職歴証明書

 直前の職場の職歴証明書、あるいは現在働いている職場が発行する在職証明書が必要とのことです。勤務先に頼んで発行してもらうだけなので難しくないですが、その職場にいた期間、役職、勤務先のサインと印、勤務先の連絡先が書いているものが良いらしいです。かつ、最低でも過去2年間の職歴を証明する必要があるので、もしかしたら過去2年のうちに転職をしていた場合は、2年間分を満たすように複数の勤務先にお願いしないといけなくなるかもしれません。私の場合は1つの勤務先で過去2年分を満たしたのでその手間はなかったです。

⑧日本語教育能力検定試験の合格証のコピー

 日本語教育能力検定試験の合格証のコピーのPDFかJPGを求められました。現在は日本語教員試験もあるので、そっちの合格証ももしかしたら有効かもしれませんが、先方からの内容には日本語教育能力検定試験のものしか含まれていませんでした。まだ向こう側で認知がされていないのか、あるいはこの記事を執筆時点(2025.06.22)では本当に効力がないかもしれません。




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